乳腺炎とは
乳汁を分泌する「乳腺」で起こる炎症のことを指します。
急性の乳腺炎には、産後の授乳期間中に起こりやすい「うっ滞性乳腺炎」、そこに細菌感染が重なった「化膿性乳腺炎」があります。
慢性の乳腺炎は、難治性であることが多く、また再発率も高くなります。乳がんと似たしこりを持つこともあるため、気になるときにはお早めにご相談ください。
乳腺炎の症状
乳腺炎の症状
乳腺炎の症状としては、以下のようなものが挙げられます。
- 乳房の張り、腫れ
- 乳房のしこり
- 乳房の痛み
- 乳房の皮膚の赤み、熱感
化膿性乳腺炎の場合には、38℃以上の発熱、倦怠感、筋肉痛、ドロドロとした黄色っぽい乳汁などの症状も見られます。
乳腺炎になりかけの初期症状
乳腺炎の一歩手前の段階で見られる症状として、以下のようなものが挙げられます。
- 乳房の張り
- 乳房の一部が硬くなっている
- 圧痛がある
硬くなっている部分をマッサージしながら赤ちゃんにしっかり飲んでもらう、あるいは自宅や助産院などで搾乳することで、改善が期待できます。改善しない場合には、当院にご相談ください。
乳腺炎の種類と原因
うっ滞性乳腺炎
乳汁が乳腺内に溜まって起こる乳腺炎です。授乳期間中によく見られ、特に初産婦に好発します。
乳房の痛み・腫れ、熱感などの症状を伴います。
化膿性乳腺炎
乳首の傷などから感染して起こります。授乳期間以外でも起こることがあります。
乳房の赤い腫れ、痛み、38℃以上の発熱、倦怠感、筋肉痛、ドロドロとした黄色っぽい乳汁などの症状を伴います。
乳腺炎は自分で治せる？治し方と対処法
急性うっ滞性乳腺炎の治療
軽症である場合には、栄養バランスの良い食事、休息・睡眠をしっかりとれば、自然治癒が期待できます。乳房を温めたり、マッサージしたりするのも有効です。
また、赤ちゃんが乳汁を飲み切れなかった場合には搾乳を行い、乳腺に乳汁を残さないことが大切です。
急性化膿性乳腺炎の治療
マッサージなどに加え、抗生物質・解熱鎮痛剤の投与によって治療を行います。重症化している場合には、切開し排膿処置が必要になることもあります。
このように、辛い症状に加え、授乳の中止が必要になることもあるため、化膿性乳腺炎だけでなく、うっ滞性乳腺炎が疑われる場合であっても、早めにご相談いただき、重症化を防ぐことが大切になります。
当院では、乳房マッサージ専門の助産院とも提携し、乳腺炎の予防のためのアドバイスも行っております。
乳腺炎の予防・対策方法
身体を冷やさない
乳汁のもとは、血液です。身体が冷えると、血管が収縮し、乳汁の詰まりを起こすリスクが高くなります。
季節を問わず、身体を冷やさないように注意しましょう。
具体的には、衣類や室温の調整、冷たい食べ物・飲み物を避けるといった方法が有効です。
水分をこまめに摂る
脱水に近くなると、血液の循環量が低下します。すると、乳汁がドロドロとして、乳腺に詰まりやすくなります。
授乳期間中は、1日2リットル以上の水分を、こまめに摂取するようにしましょう。「喉が渇く前に飲む」のが目安です。
十分な授乳の時間を取る
しっかりと授乳し、乳汁ができるだけ残らないようにすることが、乳腺炎の予防になります。
赤ちゃんの健康のためにも、十分な授乳の時間を確保するようにしましょう。
授乳は乳輪まで深く咥えさせる
乳頭だけ口に含ませても、乳汁は十分に出てきません。またこれによって授乳時間が長くなると、乳頭が傷ついたりすることも多くなります。
目安は、乳輪までしっかりと咥えさせることです。吸うときに「チュッチュッ」と音が鳴っている場合は、正しく咥えられていない（浅飲みになっている）サインです。
ストレッチなどで身体をほぐす
首や肩のこりは、乳房の血流を低下させ、乳腺炎の原因となることがあります。
お忙しいでしょうが、ストレッチなどで身体をほぐして血流を改善し、首・肩のこりを予防しましょう。
当院で行う授乳中の乳腺炎のケア
当院では、出産後の授乳についての指導・アドバイスを行っています。
妊娠・出産についてのケアは産婦人科で受けられますが、その後の授乳、および乳腺炎については、病院・クリニックのどちらにおいても、十分なケアが行われているとは言い難い実情があります。
当院院長はこれまで、授乳ケア専門の助産院と連携を取りながら、100人を超える患者様の重症乳腺炎の治療を経験してきました。未だ十分なガイドラインが存在しないこの分野において、授乳方法の指導・アドバイスを行うことは、乳腺炎の予防にもつながります。また、重症乳腺炎の外科的な治療にも対応しております。
赤ちゃんに正しく、効率よくおっぱいを飲ませてあげたい、乳腺炎の予防をしたい・治療が必要といった場合には、ぜひ烏丸御池さくやま乳腺クリニックにご相談ください。
烏丸御池駅から徒歩4分
