胸の張りは
乳がんの心配がある?
生理前は、女性ホルモンの量が一時的に増加するため、乳腺と乳腺のあいだで浮腫(むくみ)のような現象が起こり、乳房が張ったような感じがします。よく知られた現象であるため、生理前に乳房が張っても、心配する方は少ないでしょう。また実際に、ほとんどは正常な現象であり、治療も必要ありません。
しかし、生理前でもないのに胸の張りが続いている、痛みやしこり、乳頭分泌などの他の症状があるといった場合には、乳がんや乳腺症、乳腺線維腺腫などの疾患が疑われます。
乳房の張りの異常に気づいたら、お早めに烏丸御池さくやま乳腺クリニックにご相談ください。
「胸の張り」の原因
更年期障害
閉経の前後10年、おおよそ45~55歳を「更年期」と呼びます。エストロゲンという女性ホルモンの分泌が低下していくため、自律神経の乱れ、またさまざまな心身の症状が現れ、これ「更年期障害」と言います。
そして更年期障害の症状のうちの1つに、胸の張りがあります。
生理前後、月経期間
排卵時や、生理前1週間は、女性ホルモンの量が増加することから、乳腺が一時的に発達し、張りや痛みを感じることが多くなります。
妊娠初期
妊娠期間は、黄体ホルモン(女性ホルモン)の分泌が増加します。特に妊娠の初期はその影響を受けやすく、胸の張り、痛みなどの症状が見られます。
「生理ではないのに胸が張る」
とき考えられる病気
生理ではないのに胸に張りがある場合には、以下のような病気が疑われます。
乳腺症
生理、妊娠・出産、閉経などに伴うエストロゲン(女性ホルモン)の変動を主な原因として発症する良性乳腺疾患です。
症状としては、乳房の痛みや張り、乳房表面のデコボコとしたしこり、乳頭からの透明または乳汁のような分泌物などが見られます。
乳腺炎
乳汁を分泌する「乳腺」で起こる炎症のことを指します。
授乳期のうっ滞性乳腺炎や化膿性乳腺炎などがあります。
また授乳期に関係のない慢性乳腺炎という長期にわたる炎症も、時々起こります。
うっ滞性乳腺炎
授乳期間中に起こりやすい乳腺炎です。特に初産婦に起こりやすい傾向があります。
乳汁が乳腺内で詰まってしまい、乳房の痛み、張り、熱感などの症状を伴います。38℃以上の発熱も起こりえます。
化膿性乳腺炎
乳首にできた小さな傷などから感染・炎症を起こす乳腺炎です。授乳期間以外にも起こります。
症状としては、乳房の痛みや張り、38℃以上の発熱、倦怠感、筋肉痛、黄色っぽいドロドロした乳汁などが見られます。
慢性乳腺炎
乳房が部分的に硬くなったり、痛みを伴って、1か月~数か月間悪化したり軽快したりを繰り返す経過の長い乳腺炎。乳癌と非常に紛らわしい場合があります。授乳終了後数年以内に起こることが多いですが、授乳経験のない方にも起こりえます。 症状としては、乳房の張りや痛みが起こり、発熱、倦怠感など全身症状は軽いことが多いです。
高プロラクチン血症
妊娠・授乳・乳房の刺激、運動、食事、ストレス、薬剤、プロラクチノーマ(腫瘍)などを原因として、プロラクチンというホルモンの値が異常に高くなった状態です。
乳房の張り、乳汁漏出、月経異常、頭痛などの症状を伴います。不妊の原因になることもあると言われています。
乳がん
一生のうちに女性の9人に1人が経験するがんです。40~60代の女性によく見られます。
症状としては、乳房のしこり、乳頭の腫れ・ただれ、乳房の皮膚の潰瘍・ひきつれ、乳房の変形、乳頭からの赤い分泌物などが見られます。そして稀ではありますが、乳房の張りを訴える方もいらっしゃいます。
ホルモンバランスによって
胸が張るときの対処法
きつい下着を着けない
きつい下着は、締め付け感があるためそれを「乳房の張り」と感じることがあります。
サイズはもちろんですが、形状、生地なども、ご自身に合ったものを選ぶようにしましょう。ノンワイヤータイプ、カップ付きキャミソールだと、比較的痛みや乳房の張りを感じにくいようです。
栄養バランスの良い食事をする
栄養バランスの良い食事は、ホルモンバランスの改善につながります。肉類やお米だけでなく、魚、野菜、果物などを、栄養が偏らないように摂取しましょう。
どうしても食事で栄養バランスを整えられない場合には、サプリメントで補うという方法もあります。
ストレスを溜めない
ストレスは自律神経のバランスの乱れ、そしてホルモンバランスの乱れを引き起こします。
ストレスを溜めないこと、スポーツ・趣味・リラックスタイムなどでうまく発散することが大切です。
体を冷やさない
身体の冷えは、臓器の働きを低下させます。特に子宮卵巣の働きが低下すると、ホルモンバランスにも影響します。
衣類や室温の調整はもちろん、運動や入浴(湯船に浸かる)などを交え、身体を冷やさないようにしましょう。